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HEAVEN’S JUDGEMENT
西暦2098年
12月24日
世界の各国に隕石が飛来してきた。その隕石は世界の先進国を中心に衝突。
その隕石によりほとんどの建物は崩壊。動植物は大幅に数を減らし、大気中の空気も汚染され、空は青から赤へと変色した。
その当時、人々はネットワークを中心に生活しており、隕石の被害を免れた地域でも停電などにより交通機関や一般生活に支障をきたし、多大な被害をもたらされた。
人々は助けを求めようにも政府機関はほとんど先進国に中心していた為、助けを求める場所はどこにもなく、治安はどんどん悪化していくのであった。
そしてもっとも巨大な隕石が落下したアメリカ大陸からは、変種動物、いわゆるモンスターが出没するようになった。
モンスターはアメリカ大陸から徐々に生息地を広げ、世界中に広がっていった。
モンスターは凶暴な性格だが、仲間同士の争いは滅多になく、ほとんどのモンスターが人類を襲いだした。
これが世に言う『Judging From Heaven』である。
西暦2099年
9月18日
ある男と女が隕石を破壊すればモンスターの数も減ると考え、アメリカ大陸へと旅立った。
隕石を破壊することはできなかったが、二人の活躍によりモンスターの数は激減した。
女はその旅で命を落とし、男のみが街に帰ってきた。
男は英雄として皆から称えられたが、隕石周辺がどのようになっているかなどの詳しいことは一切語ろうとはしなかった。
英雄とは一時しかもたない者が多いが、彼の場合は多くを語らないので噂に噂が重なり、『最強』という華が添えられた。
男は人々の記憶の中に深くその名を刻まれたのだ。
しかし、16年後。
モンスターの数はまたも増加してきたのだ。
英雄にすがろうと考える人間が多い中、人にすがるのではなく、自分の住むべき場所は自分たちで守ろうと考え、自らモンスターと戦う者も増えてきた。
西暦2115年
12月25日
東京
17年前の隕石落下によって壊れた建物はいまだにそのまま放置されていた。
その建物のいくつかには若者がグループを作ってたまったり、家を失った人が勝手に家代わりに使ったりしている。
その日その日を生きることに必死な人々は、次第に『助け合う』という気持ちを忘れ、治安は悪くなる一方だった。
ほとんどの街がこの東京のように無法地帯と化している。
「よっ…とう!」
黒い長髪の少女がそこらじゅうに散らばっているコンクリートの上を、無邪気に遊ぶ子供のようにジャンプをしながら歩いていた。
無法地帯を一人で出歩く事は大変危険な為、とても珍しい光景だ。しかし、彼女は危険な事だと自覚していないのか、警戒する様子は全く感じられない。むしろ遠足を楽しんでいるかの様に見える。
「今日はなにかいい発見はないかしら?」
少女は何かを探すようにあたりをキョロキョロと見回す。
『こんな時代にいい発見なんかあるわけがない』
そんな事は分かっているが、いつまでも同じ場所に留まっているよりは出歩いた方が何かしらいいことが起こるかもしれない。
もしかしたら今日は何かいい発見が…。
そう思うと彼女はいてもたってもいられず、毎日散歩に出掛けては新しい発見がないか楽しみにしていた。
そんな思いとは裏腹に何も見つからない毎日。
しかし、彼女は諦めようと思ったことは一度もない。諦めたらせっかくのチャンスがなくなってしまうから…。
そんな彼女の思いが通じたのか、今日はいつもと違う発見があった。
ぐったりした様子で壁にもたれる少年。
行き倒れの人はいくらでもいる。だが、彼女は彼の存在に気付くと放っておこうとはしなかった。
「あら?あんな所に人が…。どうしたのかしら?あんな所に倒れていたら危ないわ!」
少女は焦って壁にもたれている少年の元へ駆け寄り、少年の肩をゆすって声をかけた。体を揺らす度に紫がかった綺麗な髪が前後に揺れる。
「どうしたんですか?具合でも悪いんですか?」
少女は少年が怪我をしていないか体の様子を伺っていると、少年の胸元に付けられたネックレスを見つけた。そのネックレスには何か文字が刻み込まれているようだ。
「このネックレスは何かしら?『ROZE』って彫ってある…。もしかして…名前かしら?」
少女は不思議に思いながらも名前だと確信し、まだ意識が戻らない少年の体を再び揺らす。
「ロゼさん、大丈夫ですか?どこか痛みますか?」
すると、少年は『ロゼ』という言葉に反応していきなり目を見開いた。自分が今どんな状況か理解していないのか少し頭を動かして辺りを見回し、自分の体を支えている少女に目を向ける。
「…俺の名前を呼んだのは…お前か?」
ロゼは右手で頭を押さえながらゆっくり起き上がり少女を見る。
「よかった、意識が戻ったんですね!どこか具合悪い所はありますか?」
見ず知らずの少年を心配する少女。少年が意識を取り戻した事で安心したのか少女は笑顔を見せる。
すると、ロゼは急に激しい頭痛に襲われ、その場に崩れるように倒れそうになった。
「だ、大丈夫ですか!?」
少女は急いでロゼの腕を掴み、バランスを取りやすいように左側に回ってロゼの腕を自分の肩にかける。
「すまない。何かを思い出そうとしたら急に頭が痛くなって…」
ロゼはしっかり立つと少女から少し離れ、俯き(うつむき)ながらズキズキと痛む頭を押さえる。
「それってもしかして、記憶喪失ってやつじゃないですか?
名前以外の事、何か覚えてますか?」
少女は心配そうにロゼの顔を覗き込むと、ロゼはとても辛そうに顔をしかめていた。
「名前以外の事…何も…何も思い出せない…」
少女はその姿を見て胸を打たれた。
「…私でお役に立てることありますか?何かあれば一生懸命お手伝いしますよ!
どうせならロゼさんの記憶が戻るまで手伝います!!」
少女は自分に任せろと言わんばかりに自信満々に言った。
「しかし、初めて会った人に付き合ってもらうわけには…」
「そんなこと気にしなくていいんですよ!私、人の手伝いをするのとか好きですから!
あ、私の名前まだ言ってませんでしたね。私は綾倉華燐(あやくら かりん)と言います。よろしくお願いします!」
華燐は笑顔でロゼに握手を求めるように手を差し出した。すると、ロゼはそれに答えて握手を交わしながら言った。
「俺はロゼ。こちらこそよろしくな。普段からそんな話し方なのか?もし気を遣っているなら、無理しないで自然に話してくれないかな?」
ロゼは少し遠慮がちに聞くと、華燐は驚いた様子だったがすぐに笑顔になった。
「うん、そうね!私たちはこれから仲間なんだし、仲良くしましょう♪ロゼも私に気を使って遠慮したりしないでいいから!」
華燐は握っていたロゼの手をおもいっきり上下に振りながら喜んでいた。
「それじゃ、さっそくどこに行きましょうか?ロゼが知ってそうな場所…ってわからないわよね」
華燐は手を離して考えながら歩き始めた。ロゼも華燐の後を追うように歩き出す。
「…悪いな、気を遣わせて」
「え?そんなことないから気にしないで!じゃあ適当にぶらぶら歩きましょう♪」
華燐はロゼに微笑むとロゼの隣に立ち、歩調を合わせながら歩いた。
「(見ず知らずの俺にここまで付き合ってくれるなんて、華燐はいいやつだな)」
ロゼはそう思いながら自然と笑顔になっていた。
今まであまり笑ったことがないのか、どこか引きつったような感じになっている。
華燐はそのことに気づいたが、あえてロゼに言わなかった。
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